犬遊離回腸における尿成分の吸収動態に関する検討

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  • ABSORPTION OF THE URINARY CONSTITUENTS FROM CANINE ILEUM

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腸管を尿路として利用する際に, しばしば問題となる代謝障害の発症要因を明らかにするために, 犬回腸における尿成分の吸収動態を検討した.<br>遠位の遊離回腸 (30cm) を膀胱に吻合した犬は腎機能が正常にもかかわらず1ヵ月後には軽度,6ヵ月後に著明なアシドーシスを呈した. 遊離回腸に停滞させた人工尿は60分間に注入量の平均66%, ナトリウム63%, カリウム80%, クローナル83%, リン68%, マグネシウム34%, 尿素窒素93%, クレアチニン56%, アンモニア97%が吸収された. カルシウムは注入量より回収量が21%増加した. 遊離回腸の絨毛の萎縮や平坦化などの組織学的変化にもかかわらずこの性質は6ヵ月間ほぼ不変であった. フロセミド投与により水や尿成分の吸収が抑制されたが, 尿素窒素とアンモニアの吸収はほとんど抑制されなかった. また遊離回腸内に人工尿を0.5ml/minで60分間流した結果, 注入量の59%, 各成分の50~86%が吸収され, 流量を増加させると人工尿成分の吸収率は減少した. 以上より回腸からの尿成分の吸収は高率かつ速やかで, 組織学的変化にもかかわらずその性質は長期間継続した. アシドーシスの防止には, 排尿回数あるいは尿量を増加させ, 回腸内の尿停先滞時間を短くすることが有用と考えられた.

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