10年以上経過観察が可能であった二分脊椎228症例における尿路の形態的変化についての考察

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タイトル別名
  • LONG-TERM FOLLOW UP OF PATIENTS WITH SPINA BIFIDA
  • A Review of 228 Cases

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抄録

(目的) 長期経過観察が可能であった二分脊椎症例における尿路の形態的変化につき検討した.<br>(方法) 対象は10年以上経過観察が可能であった二分脊椎症例228例 (男97例, 女131例) で, 平均年齢は18.7歳 (10~51歳), 経過観察期間は10~27年 (平均13.4年) であった. 上部尿路障害 (尿管拡張および水腎症), 膀胱尿管逆流 (VUR) および膀胱変形を排泄性尿路造影および排尿時膀胱尿道造影にて評価し, 各々の形態的変化につき初診時と最終評価時で比較した.<br>(結果) 初診時において上部尿路障害が32.9%, VURが33.3%, 膀胱変形が40.0%の症例において認められた. 排尿方法の変更および手術療法にて, 上部尿路障害の47.3%, VURの33.3%が改善した. 膀胱変形は14.4%において消失した. しかしその一方, 全体の9.3%に上部尿路の悪化がみられ, 8.0%にVURの, 29.3%に膀胱変形の新発生または進行がみられた. 最終的には上部尿路障害, VURおよび膀胱変形を有する頻度は31.3%, 18.2%, 52.0%であった.<br>(結論) 今回の検討では, 上部尿路に関しては不変, VURに関しては改善の結果を得たが, 膀胱変形はむしろ悪化する傾向がみられた. 二分脊椎症例の尿路は, 常に一定の経過を示すわけではなく, 悪化, 改善を繰り返す症例があり, 個々の症例についての経時的な尿路の変化を詳細に解析することにより, より適切な尿路管理を確立する必要があると考えられた.

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参考文献 (15)*注記

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