miR-122はC型肝炎ウイルスの細胞指向性に関与する

  • 福原 崇介
    Department of Molecular Virology, Research Institute for Microbial Diseases, Osaka University
  • 松浦 善治
    Department of Molecular Virology, Research Institute for Microbial Diseases, Osaka University

書誌事項

タイトル別名
  • miR-122 participates in the cell tropism of hepatitis C virus
  • miR-122 ワ Cガタカンエンウイルス ノ サイボウ シコウセイ ニ カンヨ スル

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抄録

C型肝炎ウイルス(HCV)は狭い宿主域と高い臓器親和性を示す.細胞への侵入やゲノム複製を模倣する実験系や,ヒト肝癌由来細胞で増殖する実験室株(HCVcc)の開発により,HCVの感染環の解明が大きく進展した.特に,4つの感染受容体候補分子を発現させたマウス細胞やマウス個体にHCVccが侵入できることから,HCVの組織特異性は受容体の発現によって規定されていると考えられてきた.しかしながら,HCV感染は肝障害のみならず,種々の肝外病変を発症することが知られており,HCVの組織指向性に関しても不明な点が多い.最近我々は,HCVゲノムの複製を亢進する肝臓特異的なmicroRNAであるmiR-122を非肝臓系細胞に発現させると,HCVゲノムは効率よく複製するものの,感染性粒子は産生されないことを明らかにした.肝臓細胞と比べて非肝臓系細胞では脂質代謝系を欠いていることから,HCVのゲノム複製にはmiR-122が,また,感染性粒子の産生には脂質代謝系が重要であり,これらの因子がHCVの組織特異性を規定している可能性が考えられる.本稿では,我々の成績を中心にして,HCV感染の組織指向性に関与する宿主因子について考察したい.

収録刊行物

  • ウイルス

    ウイルス 62 (1), 1-8, 2012

    日本ウイルス学会

参考文献 (130)*注記

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