マイコウイルスとヴァイロコントロール

  • 千葉 壮太郎
    岡山大学資源植物科学研究所 植物・微生物相互作用グループ
  • 近藤 秀樹
    岡山大学資源植物科学研究所 植物・微生物相互作用グループ
  • 兼松 聡子
    農業・食品産業技術総合研究機構 果樹研究所
  • 鈴木 信弘
    岡山大学資源植物科学研究所 植物・微生物相互作用グループ

書誌事項

タイトル別名
  • Mycoviruses and Virocontrol
  • マイコウイルス ト ヴァイロコントロール

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抄録

マイコウイルス(菌類ウイルス)は菌類の主要な分類群から広く報告されている.特に近年のウイルス探索の結果,新しいマイコウイルスが次々と報告され,新規のウイルスゲノム構造,遺伝子発現様式,粒子構造の発見を齎した.また,同時にウイルスの多様性,進化の理解へと繋がった.マイコウイルスの多くは2本鎖RNAをゲノムにもつ球形ウイルスであるが,粒子化されない1本鎖RNAウイルスも多く見つかっている.自然界では,マイコウイルスは宿主菌の細胞分裂,細胞融合,胞子形成により水平・垂直伝搬するが,細胞外からの伝搬・侵入経路は知られていない.マイコウイルスの多くは無病徴感染をするが,一部のウイルスは宿主菌に病徴を惹起し,巨視的表現型の変化を齎す.マイコウイルスが植物病原菌の病原力を低下させる場合は,ウイルスを利用した生物防除(ヴァイロコントロールと提唱)が試みられている.ヨーロッパではクリ胴枯病菌のヴァイロコントロールの成功例があり,一方,日本でも果樹の白紋羽病菌を標的としたヴァイロコントロールが試みられている.本稿では,マイコウイルスの一般的性状を概説し,ヴァイロコントロール,さらにはそれに関係するウイルスについて紹介する.

収録刊行物

  • ウイルス

    ウイルス 60 (2), 163-176, 2010

    日本ウイルス学会

被引用文献 (1)*注記

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参考文献 (180)*注記

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