アルボウイルス感染症におけるウエストナイル熱・脳炎の位置付け

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タイトル別名
  • West Nile fever/encephalitis as one of the arboviral infections
  • アルボウイルス カンセンショウ ニ オケル ウエストナイル ネツ ノウエン ノ イチヅケ

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抄録

ウエストナイルウイルスは自然宿主であるトリと蚊の間で感染環が形成され維持されている.米国においては約200種のトリがウエストナイルウイルスに感染し,さらに,40種以上の蚊からウイルスが分離されている.このように,多種の蚊からウイルスが検出されることは,他のフラビウイルスに比し,ウエストナイルウイルスがより多くの種類の蚊によって媒介され,さらに多種類の動物に感染しうる性質を有したウイルスであること示唆する.ヒトにおいてはウエストナイルウイルス感染者の約20%が症状を示すと考えられている.急性熱性疾患であるウエストナイル熱が多数を占めるが,髄膜炎,脳炎(髄膜脳炎),さらに近年脊髄,末梢神経症状として弛緩性麻痺,多発性神経炎の報告もなされている.このようにウエストナイルウイルスは,ヒトにおいては多様な症状を引き起こす性質を有するウイルスであるといえる.近年,アメリカ大陸やロシアにおいて侵淫地域が拡大している.日本への侵入も危惧されており,今後一層注目すべきウイルスといえる.

収録刊行物

  • ウイルス

    ウイルス 55 (1), 63-68, 2005

    日本ウイルス学会

被引用文献 (1)*注記

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参考文献 (40)*注記

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