胸椎転移により脊髄圧迫を生じたと考えられた皮膚有棘細胞癌

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タイトル別名
  • Spinal Cord Compression Presumably Due to Metastasized Cutaneous Squamous Cell Carcinoma to the Thoracic Spine

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抄録

皮膚有棘細胞癌は, リンパ行性転移をきたしやすいことで知られているが, 脊椎への転移は極めて稀である. 今回我々は, 皮膚有棘細胞癌の胸椎転移例を経験したので報告する. 症例は, 73歳男性. 2005年11月に右4趾皮膚有棘細胞癌に対して, 原発部の切除と右鼠径リンパ節郭清術を施行した(T2N1M1). 以後3年間, 多発リンパ節転移に対して, ペプロマイシン投与とCAV療法(シスプラチン, アドリアマイシン, フィルデシン), さらには放射線治療を行った. 2008年9月, 腰痛と排尿障害を主訴に来院した. MRI上, 胸椎に腫瘤を認め, 脊髄を圧排していた. 血中SCC抗原も高値を示した. 化学療法と放射線治療を行い, 症状の改善とSCC抗原の低下を認めた. 皮膚有棘細胞癌の患者の経過観察において, 脊椎転移も念頭に置く必要がある.

収録刊行物

  • Journal of UOEH

    Journal of UOEH 32 (2), 155-159, 2010

    学校法人 産業医科大学

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