胎児型後交通動脈から生じた真性後交通動脈瘤破裂症例に対する外科的治療

  • 中野 良昭
    産業医科大学 医学部 脳神経外科学教室
  • 齋藤 健
    産業医科大学 医学部 脳神経外科学教室
  • 山本 淳考
    産業医科大学 医学部 脳神経外科学教室
  • 高橋 麻由
    産業医科大学 医学部 脳神経外科学教室
  • 秋葉 大輔
    産業医科大学 医学部 脳神経外科学教室
  • 北川 雄大
    産業医科大学 医学部 脳神経外科学教室
  • 宮岡 亮
    産業医科大学 医学部 脳神経外科学教室
  • 植田 邦裕
    産業医科大学 医学部 脳神経外科学教室
  • 黒川 暢
    産業医科大学 医学部 脳神経外科学教室
  • 西澤 茂
    産業医科大学 医学部 脳神経外科学教室

書誌事項

タイトル別名
  • Surgical Treatment for a Ruptured True Posterior Communicating Artery Aneurysm Arising on the Fetal-Type Posterior Communicating Artery -Two Case Reports and Review of the Literature-

この論文をさがす

説明

後交通動脈自体から生じる真性脳動脈瘤は少ないことが知られている. 特徴を有する真性後交通動脈瘤の破裂を生じた2症例を文献的な考察を加え報告する. 43歳男性, 胎児型後交通動脈から生じた真性後交通動脈瘤破裂によるくも膜下出血を生じ, 脳動脈瘤クリピング術を施行した. 手術では, 脳動脈瘤が側頭葉に埋没していたため, 脳動脈瘤を露出させるには脳の牽引が必要であった. 脳の牽引を行った際に, 脳動脈瘤の術中破裂を生じたため, 仮のクリッピングを行い, 出血をコントロールし完全な脳動脈瘤クリッピングを行った. 71歳女性, 意識障害が出現し, 同様にくも膜下出血を生じ, 脳動脈瘤クリッピング術を施行した. 脳動脈瘤の発生, 増大, 破裂には血行力学的な要因が関与すると考えられており, 特に真性後交通動脈瘤の発生には重要な要因となる. 文献によると, 真性後交通動脈瘤は胎児型後交通動脈からの発生が81.8%とほとんどであった. つまり, 胎児型後交通動脈による血行力学的な要因が脳動脈瘤の発生に強く関与していると考えられる. また, 解剖学的な位置より脳動脈瘤は側頭葉内に埋没していることが多く, 脳動脈瘤クリッピング術の際には脳の牽引が必要となり, 術中に脳動脈瘤の破裂を生じる危険性が高くなる. 真性後交通動脈瘤を手術する際には, 牽引時の術中破裂を特に注意し, 出血をコントロールする対応策を備えておくべきである.

収録刊行物

  • Journal of UOEH

    Journal of UOEH 33 (4), 303-312, 2011

    学校法人 産業医科大学

被引用文献 (1)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ