当教室で経験したフッ化水素酸による化学熱傷の9例:産業医学的側面よりの検討

書誌事項

タイトル別名
  • Occupationally Induced Hydrofluoric Acid Burns: An Analysis of 9 Patients from the Aspect of Occupational Health
  • 当教室〔産業医科大学医学部皮膚科学教室〕で経験したフッ化水素酸による化学熱傷の9例:産業医学的側面よりの検討
  • トウ キョウシツ サンギョウイカ ダイガク イガクブ ヒフ カガク キョウシツ デ ケイケン シタ フッカ スイソサン ニ ヨル カガク ネッショウ ノ 9レイ サンギョウ イガクテキ ソクメン ヨリ ノ ケントウ

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説明

1979年7月から2000年2月末まで当教室で経験したフッ化水素酸化学熱傷は9例で, すべて職業性曝露によるものであった. すべて男性で, 年令は20-53歳(中央値35歳, 平均36.8歳), 曝露時従事していた作業の内訳は, 洗浄作業6例, フッ化水素パイプラインの機器交換2例, 不明1例であった. 受傷部位は手・指がほとんどであった. 手・指受傷者の作業中の手の保護が十分でなかったものは5名であった. 受診時の症状としては表皮剥離程度から白色壊死・潰瘍形成までさまざまであった. 過去の報告例も含め総合的に考慮して見ると, 曝露事故の発生要因としてはおおむね, 1)作業中の油断, 特にベテランに多い慣れに伴うフッ化水素酸の危険性の軽視, 2)フッ化水素についての無知・認識不足, 3)手袋の穴に気づかないままの作業, 4)不慮の事故, の4つに分けられた. フッ化水素酸による皮膚障害は重篤になることが多いため, 作業従事者(特に中堅), 特定化学物質等作業主任者, 治療に当たる可能性のある医師への, 皮膚科医・産業医によるフッ化水素酸化学熱傷についての, 再教育あるいは啓蒙活動が必要と思われる. また市販のフッ化水素酸剤を使う小規模事業所の事業主や作業者については地域産業保健センターなどの活用が望まれる.

収録刊行物

  • Journal of UOEH

    Journal of UOEH 22 (2), 167-175, 2000

    学校法人 産業医科大学

被引用文献 (1)*注記

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