生とは何か, 死とは何か

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タイトル別名
  • The Nature of Life and the Nature of Death

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説明

本論文の内容は1982年10月30日に本学医学概論の授業として講義されたものである. 人間の生命には身体, 精神, 霊性の三つの側面があって, このうちどの一つが欠けても全体の死につながる. 身体的生命の特徴として被刺激性, 成長と生殖, 適応性, 代謝の四つがあげられるが, これら要素の集合が即生命ではなく, 全体を一つにまとめる統合力が身体的生命の本質である. 精神としての生命は知性, 合理的思考などを含み, 霊性としての生命は共感, 未来への洞察, 究極的な存在の探求などを含む. 精神も霊性も身体的生命の死と共に終る. 不死の生命の問題は永遠の謎である. 精神と霊性は人間の文化を形成し, 逆に文化は生命の質を規定する. 文化の死がおこれば人間は単なる野生動物に戻るだろう. 科学者は主に身体と精神を, 哲学者は精神と霊性を取り扱う. 良き医師としての人生は, 人間の一部分のみに注目することなく, 「春風化雨」という詩句に表わされれているように死せる大地から新たな生命を生み出すものでなければならない.(訳責:伊藤幸郎)

収録刊行物

  • Journal of UOEH

    Journal of UOEH 5 (2), 133-145, 1983

    学校法人 産業医科大学

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