フランス地方大都市における都市公共交通サービス : マルセイユ市の事例を中心に(1870年代~1930年代)

書誌事項

タイトル別名
  • Urban public transportation service in major regional cities in France : focusing on the case of Marseille (1870s~1930s)
  • フランス チホウ ダイトシ ニ オケル トシ コウキョウ コウツウ サービス : マルセイユシ ノ ジレイ オ チュウシン ニ(1870ネンダイ~1930ネンダイ)

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抄録

フランスの大都市では1870年代以降,郊外の都市公共交通の重要性が増した。その建設・営業形態は,地方自治体ごとの営業認可制度であった。この制度下でフランス大都市の公共交通機関は,乗合馬車から路面馬車,路面電車,バス,地下鉄へと技術的発展を遂げたが,都市交通整備の過程は各都市により相違がみられた。首都パリの都市公共交通は,近代的な地下鉄網を有しつつ,地上交通では旧態依然の乗合馬車や路面馬車が1913年まで利用され続けた。路面電車がすでに世紀初頭より普及していたフランス地方大都市と比較すると,パリの都市公共交通は特異な状況にあったと言える。リヨンとマルセイユの各路線網では,第一次大戦以降,経営動向の差異が明白となった。リヨンの路線網は経営の合理化に成功し,地理的にも大部分の路線が人口密集地域に敷かれ経営に好都合であった。対照的にマルセイユの路線網は,遠い郊外の不採算路線を数多く認可した結果,大戦前より赤字体質が形成された。マルセイユでは,男子普通選挙の一般化に伴う選挙地盤への政治家の利益誘導が,都市公共交通サービスの分野で特に目立っていたのである。

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