盛期ジャマイカ砂糖農園における奴隷の出生と死亡 : 「グッドホープのジョン」所有の6農園の事例

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タイトル別名
  • Birth and death of slaves in the heyday of Jamaican sugar plantations : a case study of six estates belonging to "John Tharp of Good Hope"
  • セイキ ジャマイカ サトウ ノウエン ニ オケル ドレイ ノ シュッショウ ト シボウ : 「 グッドホープ ノ ジョン 」 ショユウ ノ 6 ノウエン ノ ジレイ

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抄録

18・19世紀のカリブ諸島における黒人奴隷人口の停滞については、一方で過酷な労働や厳しい気候による高死亡率、他方でアフリカ出身者の低出生率が強調される。本稿は、今一つの要素として農園管理のあり方に着目し、ジャマイカ6砂糖農園の比較調査を通して、農園が奴隷の出生と死亡とに如何に関与したかを論じる。死亡理由を見ると事故や土食いの件数、病死のうち病名が特定された者の比率などが、農園ごとに異なる。労働管理、食糧配給、医療サービスの条件も同様だった。しかし奴隷の良好な待遇は必ずしも死亡数の抑制を結果しない。出生ではその季節的変動に注目する。農園中には、奴隷の出生ピークが高温多湿期と繁忙期とを避ける明確な傾向を示す例もあれば、このパタンが崩れた例、あるいは変動自体が確認できない例もある。出生時期の規制と良好な奴隷の待遇とは対応するが、それらに応じた出生数の増進は見られない。これらは、奴隷の出生・死亡が農園管理側の政策と奴隷の家族形成運動との相互作用の結果であることを示唆する。

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