日清戦後経営期における同業者団体の活動 : 大日本塩業協会の会報発行活動を事例に

書誌事項

タイトル別名
  • Industrial organization in the early 20th century : a case study of the Japan Salt Industry Association
  • ニッシンセンゴ ケイエイキ ニ オケル ドウギョウシャ ダンタイ ノ カツドウ : ダイニホンエンギョウ キョウカイ ノ カイホウ ハッコウ カツドウ オ ジレイ ニ

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抄録

本稿の課題は,1896〜1903年における大日本塩業協会の会報発行活動を検討し,日清戦後経営期に同業者団体が果たした役割を明らかにすることにある。本稿の考察より,第1に農商務省官吏と瀬戸内地方製塩家が役員として協会運営の中心を担ったこと,第2に会報の記事作成で中心的な役割を果たしたのは農商務省官吏であったこと,第3に日清戦後経営期における製塩業政策の展開と食塩輸移入量増加に伴う食塩市場の変化によって会報の記事構成に変化が見られたことが明らかになった。農商務省は積極的に会報を利用することで業界へ向けた情報の伝達を図った一方で,製塩業界側からの情報発信と業界内における情報交流は盛んにはならなかったのである。協会は,外国産塩の輸入防遏を目指した農商務省官吏と内地塩の輸出振興を展望した製塩家により設立された。このように,設立時において設立目的を農商務省と製塩家の間で共有できていなかったことは,同会が主たる活動として発行した会報の役割を政府から業界に向けた情報伝達手段へ限定化させたのであった。

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