化学産業における技術軌道と研究開発機能の立地力学 : 機能性化学企業3社の事例

書誌事項

タイトル別名
  • Technological Trajectories and Locational Dynamics of the R&D Function in the Chemical Industry : Cases of Three Functional Chemical Firms
  • カガク サンギョウ ニ オケル ギジュツ キドウ ト ケンキュウ カイハツ キノウ ノ リッチ リキガク : キノウセイ カガク キギョウ 3シャ ノ ジレイ

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抄録

イノベーションの経済地理学研究が活発化する中で,本来の技術革新と産業立地に関する研究は必ずしも多くない.本稿では,技術革新と立地との媒介項に,技術軌道の考え方を導入するとともに,研究開発機能の立地における中央研究所と地方の生産拠点に併設された研究所との立地力学に着目する.日本の化学産業,とりわけ機能性化学企業を取り上げ,研究開発機能の立地履歴の検討と代表的な新製品開発の事例分析を通じて,技術軌道の形成・展開と研究開発機能の立地力学の変化との関係を明らかにすることを本稿の目的とする.事例企業である電気化学工業,昭和電工,JSRの3社は,創業時の技術軌道から大きく逸れることなく,電子材料・部品を中心とした新規製品の高付加価値化に成功してきた.その基盤となる技術は,大都市圏内の独立した研究所から伝播したのではなく,それぞれの製品を生産する地方拠点を中心に蓄積されてきた.機能性化学企業における技術軌道の展開をみると,創業時における地方の生産拠点から,一時は大都市圏の研究所へ研究開発機能の中心が移ったものの,機能性化学品の時代においては,再び地方を中心とした生産拠点の引力が強まってきている.

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