環境にやさしい農業と「自然」な食品(大会報告論文,<特集>経済地理学と自然)

書誌事項

タイトル別名
  • Environmnet-Friendly Farming and "Natural" Food(<Special Issue>Nature and Economic Geography)
  • 環境にやさしい農業と「自然」な食品
  • カンキョウ ニ ヤサシイ ノウギョウ ト 「 シゼン 」 ナ ショクヒン

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抄録

農業は自然環境との関係が強い産業であり,食品は生身の人間が摂取するものであるので「自然」的な要素が求められる商品である.本稿は「経済地理学と自然」に関して,農業・食品を対象として,論点を提示しようとするものである.環境保全型農業や有機農業とはいっても,自然環境に対して必ずしも万全ではない.環境負荷に関して空間スケールの視点でとらえることも重要である.また,環境は人間によって差別的に保護されている一方,農業分野における環境破壊が空間的に周辺化している.植物工場は自然環境の制約を克服しようとするものであるが,既存の農業を代替させるものではない.むしろ,特異な環境を人工的に構築することで,新たな商品開発が可能となっている.植物工場の立地原理は農業立地論とは大きく異なり,産地概念の再考を迫るものである.食品消費の面では,「自然」的な要素の価値が高まっている.都市化の進展によって,「自然」は記号化されたとも言える.ただし,何が「自然」的なものなのかというのは,国や地域によって大きく異なる可能性がある.

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