三重県における地域成長構造の計量分析 : シフトシェア回帰アプローチ

書誌事項

タイトル別名
  • A Quantitative Analysis of Regional Growth Structure in Mie Prefecture, Japan : A Shift-Share Regression Approach
  • ミエケン ニ オケル チイキ セイチョウ コウゾウ ノ ケイリョウ ブンセキ シフトシェア カイキ アプローチ

この論文をさがす

説明

本稿では三重県域を対象とし,産業構成や地域産業の生産性が相互に作用する多様な成長パターンの地域的差異が,どのような要因によって決定づけられるのかについて実証分析を行った.その際,成長要因としてi)国家効果,ii)産業構成効果,iii)地域差異効果,iv)地域集積効果を考慮するシフトシェア回帰モデルを構築し応用した.当モデルの利点は,地域成長へ影響を及ぼす各効果を統計的に検定可能であること,詳細な分析単位地区にもとづいて成長の地域的差異を把握できること,の二点にある.分析結果より,第一に,成長トレンドにある産業の誘致政策は,産業集積を含む地域の比較優位によって産業の生産性増大が期待できる三重県北部から中部地域において効果を上げたものの,生産環境が伴わない南部地域ではほとんど機能していなかった.結果的に県内の地域間格差は拡大した.第二に,産業構成効果によるモデル説明力が増大しつつあることが分かった.このことは,製造業を中心とする産業の全国的な雇用情勢を反映しており,製造業のシェア拡大を伴いながら地域産業の生産性が増大した都市部でも,近年では厳しい成長構造に直面しつつある.第三に,地域差異効果と地域集積効果には,行政区域を超えたスピルオーバーが生じている傾向が観察された.成長構造の実態に即した広域的な地域レベルのもとで自律的・内発的・持続的発展を図る施策の立案・施行が重要であることが示唆された.

収録刊行物

関連プロジェクト

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ