交通政策における「地域の視点」 : 道路政策を事例にして(<特集>地域政策と交通問題)

書誌事項

タイトル別名
  • Imbalance in Regional Distribution of Highway Investment in Japan(<Special Issue>Rigional Policy and Transportation)
  • 交通政策における「地域の視点」--道路政策を事例にして
  • コウツウ セイサク ニ オケル チイキ ノ シテン ドウロ セイサク オ ジレイ ニ シテ

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説明

本稿では,日本の道路政策を計画と財源の2つの面から論じ,地域の考え方や地域政策との関係について分析する.第二次大戦後の日本の道路政策には,道路整備5箇年計画,有料道路制度および道路特定財源という3つの特徴がある.道路計画においては5年ごとの事業量が決定されていたが,急激なモータリゼーションに加えて,経済計画や地域政策との整合性を保つために改定が繰り返された.この過程で人口希薄地域にも道路がつくられた.他方,道路特定財源は日本全体で受益と負担を一致させる制度であるが,地域的なそれらの一致は考慮されていない.なぜなら,道路の建設段階では資金の地域間内部補助(地域間所得移転)が是認されるからであり,このことは道路がネットワークを形成してより大きな効果を発するという性質に起因している.1980年代に維持管理の時代を迎えたアメリカでは,州間の受益と負担を一致させる方向で調整がすすめられてきた.近年,日本でも地域間内部補助が配分の不透明さととらえられるようになった.今後,道路の維持管理費が必要なことは自明であり,そのためには地域的に受益と負担をある程度一致させる必要がある.そこで,道州制の地域区分を用いて日本における地域的な道路財源の負担と受益の変遷を明らかにし,今後の道路政策に対する提言を行う.

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