鹿児島都市圏における大規模宅地開発の展開過程

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タイトル別名
  • The Development Process of Large-Scale Residential Areas in the Kagoshima Metropolitan Area
  • カゴシマ トシケン ニ オケル ダイキボ タクチ カイハツ ノ テンカイ カテ

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抄録

本研究では鹿児島都市圏における大規模宅地開発の展開過程を明らかにし, さらにその中で公的主体が果たした役割を明らかにすることを目的としている. そのため, 開発行為を経済活動としてとらえ, 民間開発業者の行動原理に基づいてこれらを考察し, 以下のような結論をえた. 高度経済成長期には公的機関が主要な開発主体となっていた. これは鹿児島都市圏での地形的制約や諸施設の未整備な状況等が開発のための負担諸費用を押し上げたので, 他地域と比較して収益性が相対的に小さくなり, 民間開発業者の開発を抑制するように作用したとみられた. けれども, 諸事業所が鹿児島市に集中しつつある状況下では労働力再生産の条件の一つである住宅の整備が強く求められた. そのため, シラス台地上で公的主体による開発がすすめられた. 一連のその活動はその後の民間開発業者による宅地開発の可能性を高めることになった. 民間開発業者による開発が増加しつつある中でオイルショックが起こり, 鹿児島都市圏でも住宅・宅地の供給過剰が見込まれた. このことは住宅・宅地の販売競争の激化を意味し, その対応として開発地の個性化競争の激化がもたらされた. また, 鹿児島市は, この時期に都市計画法の用途地域制を通じて, 開発抑制策を制定した. そのため鹿児島市域外へと開発対象地が遠隔化した.

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