プロピレンの重合に関する研究-Ziegler触媒における第IVb属の塩化物の影響-

書誌事項

タイトル別名
  • Polymerization of Propylene : the Effect of Chlorides of Group IVb Elements on the Polymerization with the Ziegler Catalyst

抄録

Ziegler触媒によるプロピレンの重合で,触媒の粗TiCl4に不純物として含まれやすい周期律表第IVb属元素の塩化物(MCl4-M=C,Si,Sn-およびCCl4の誘導体C6H5.CCl3)をTiCl4に加えて重合させ,その影響を検討した。重合はTiCl4の一部または全部を,MCl4で置換して触媒比がAl(C2H5)3/TiCl4+MCl4=1.5付近と4.5~5.8で行った。その結果SiCl4以外のMCl4による置換は重合生成物に大きな影響を示した。置換によってポリマー中のアイソタクチックの割合が増減するのは,MCl4特にCCl4やSnCl4はその置換量や種類によってZiegler触媒が形成する固体錯化合物の量や粒子の大きさに変化を与えるためと考えられる。またTiCl4の全部をSiCl4で置換した触媒で重合させてはほとんどポリマーは生成しなかった。触媒比が1.5付近でTiCl4の一部をCCl4やSnCl4で置換した結果,ある置換比において各ポリマー中のアイソタクチックの割合は極大を示した。更に触媒比4.5~5.8での置換剤の影響は,抽出残留物での比較は差が見られるものもあったが,X線法で結晶性ポリマーを比較するとあまり有意差が見られなかった。次に重合生成物は溶剤で4部分に抽出分別し,その中n-ヘプタン抽出部と,その残留物について,粘度と赤外線吸収スペクトルを測定して,置換剤の影響を検討した。極限粘度は置換剤が入るとZiegler触媒のみで重合したポリマーより低い[η]を示した。またSiCl4,SnCl4を用いて重合したすべてのポリマー中に二重結合の残っている吸収が認められた。またC6H5.CCl3を置換剤にしてフェニル基の様子をしらべたが,高分子量のポリマー中には見られなかった。

収録刊行物

  • 工業化学雑誌

    工業化学雑誌 62 (1), 137-140, 1959

    The Chemical Society of Japan

被引用文献 (1)*注記

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