エステル結合を有する三価のリン化合物と無水酢酸の反応

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  • Reaction of Trivalent Phosphorus Esters with Acetic Anhydride

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エステル結合をもつ三価のリン化合物である亜リン酸エステル (I), 亜ホスホン酸エステル (II), および亜ホスフィン酸エステル (III) と無水酢酸の反応について, 残存無水酢酸の量を追跡することにより速度論的に検討した。<BR>(RO)3P (I) R'P(OR)2 (II) R'2P(OR) (III)<BR>一般にこれらの反応では, リン化合物と無水酢酸のそれぞれについて反応次数が一次であることがわかった。亜リン酸エステルでは置換基であるアルキル基が, メチル, エチル, n-プロピル, n-ブチル, ベンジルなどのように第一級のアルキル基である場合には, 反応はリン原子上の電子密度よりも置換基の立体障害によって支配される。一方, 亜リン酸エステルのアルキル基がイソプロピル, t-ブチルの場合には, 前者にくらべて反応速度が大きく, またフェニル亜ホスホン酸ジエチル, ジフェニル亜ホスフィン酸エチルはともに亜リン酸エチルよりも速度が大きい。これらのことから, エステル結合をもつ3価のリン化合物無水酢酸の反応は Arbuzov 反応と同じく, リン原子の孤立電子対がカルボニル炭素を求核的に攻撃する段階が律速であると考えられる。

収録刊行物

  • 工業化学雑誌

    工業化学雑誌 73 (5), 1004-1006, 1970

    The Chemical Society of Japan

被引用文献 (1)*注記

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