スルホクロル化ポリプロピレンの赤外吸収スペクトルによる研究

書誌事項

タイトル別名
  • The Study on the Infrared Spectra of Sulfochlorinated Polypropylenes

この論文をさがす

説明

Moplen M-1(I)の不均一系におけるスルホクロル化反応については前報で報告した。今回はこの方法で合成した塩素およびスルホクロル基含量の異なる一連のスルホクロル化ポリプロピレン(II)について岩塩ならびに臭化カリプリズム領域の赤外吸収スペクトルを測定した結果次のことが明らかになった。<BR>a)(II)の赤外吸収スペクトルには(1)に見られない新しい吸収が1360付近,1182,763,743,726,704,685,668,620,596および517cm-1に現われ,このうち1360cm-1付近の吸収はνa(SO),1182cm-1の吸収はνs(SO),763,726,704,685,668および620cm-1の吸収はν(C-Cl)に,また743,596および517cm-1の吸収はν(C-S)あるいはδ(SO)に帰属した。<BR>b)(II)の粉末試料について赤外吸収スペクトルを測定した結果isotacticityの低下率は低く,スルホクロル化は(I)の非結晶部分でおもに起る。<BR>c)(I)の不均一系におけるスルホクロル化反応では,塩素化,スルホクロル化およびトランスビニレン型二重結合の生成反応が平行して起きておリ,二重結合の生成量はポリマー中のSO2Cl%に支配され易く,同一条件で合成した試料ではポリマー中の全塩素含量に比例する。<BR>d)(II)は熱安定性が悪く,高温で作製したフィルム試料ではν(C=C),ν(C=0)おまびν(-OH)の吸収強度が顕著に増加する。<BR>e)スルホクロル化ポリプロピレンの臭化カリプリズム領域の赤外吸収スペクトルには立体特異性の差に基づく変化は見られない。

収録刊行物

  • 工業化学雑誌

    工業化学雑誌 64 (10), 1855-1859, 1961

    The Chemical Society of Japan

キーワード

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ