再生遅延剤の作用におよぼすビスコースの熟成と紡糸浴条件の影響

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タイトル別名
  • The Influence of Viscose Ripening and Spin Bath Conditions on the Action of Regeneration Retardants

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説明

再生遅延剤の作用を明らかにするため,紡糸過程のビスコースゲル糸につき中和点,ゲル膨潤度,結合イオウ量,結合亜鉛量および荷重・伸度曲線を測定し, シクロヘキシルアミンおよびポリエチレングリコールの作用におよぼす中和指示薬の種類,紡糸浴の組成および温度,ビスコースの熟成ならびに紡糸浴に含まれる再生遅延剤の影響を研究した。再生遅延剤は中和点を延長し,ゲル膨潤度および結合イオウ量を紡糸浴浸漬長の短かい過程において増加し,浸漬長の延長にともなって急速に減少させ,未延伸ゲル糸の荷重・伸度曲線に伸長による構造強化を著しくするが,結合亜鉛量をむしろわずかに減少することが知られた。中和指示薬は一般に再生遅延剤の作用を削減する傾向を有するが,コンゴーレッドは,その影響が比較的少ない。紡糸浴の硫酸濃度の低下,硫酸亜鉛および硫酸ナトリウム濃度の増加,ならびに紡糸浴温度の上昇は,再生遅延作用を増強することを確かめた。熟成によるγ 価の低下により,ポリエチレングリコールの再生遅延作用は急速に減少するが,シクロヘキシルアミンの作用は変化が少ないことが見出された。ビスコースと紡糸浴の両者に再生遅延剤を用いると,その効果は一般に加成性であるが,紡糸浴のポリエチレングリコールはビスコースのシクロヘキシルアミンに対しては増感性を,ビスコースのポリエチレングリコールに対しては,きっ抗性を示す傾向が見られる。

収録刊行物

  • 工業化学雑誌

    工業化学雑誌 65 (9), 1477-1484, 1962

    The Chemical Society of Japan

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