アルミナ触媒の形態と触媒活性(II)イソブタンのクラッキング

書誌事項

タイトル別名
  • II. Cracking of Isobutane

抄録

斯波忠夫・吉田和昭・佐藤正雄前報に引続いてアルミナの形態と酸性度および触媒活性の関係を検討するため種々の形態のアルミナを用い,封鎖循環系470℃でイソブタンのクラッキング反応を行なった。この反応の主反応はメタン,プロピレンへの分解反応と,イソブテン,水素への脱水素反応であり,イソブタン消失速度は触媒により1次のものと,そうでないものがあった。プロピレンあるいは水素分圧とイソブタン初圧との比とイソブタン転化率はΧ-Al2O3 のプロピレン分圧の場合を除き, 全部の触媒において直線関係にあり, したがってこれらの触媒においては選択率の経時変化は認められなかった。イソブタンクラッキング触媒としてはイソプロピルアルコールの脱水, 1-ブタン移行反応と同様, バイアライトやハイドラルジライトなどの3水和物を550℃ 焼成してえたη-およびΧ-Al2O3が活性が大きく,γ-Al2O3がこれにつぎ,原料水和物を高温焼成してえられるθ-,κ-およびδ-Al2O3は活性が小さかった。また前3者もナトリウム被毒すると活性が低下した。プロピレン・メタンへの分解反応とイソブテン・水素への脱水素反応の選択率は,η-,Χ-およびγ-Al2O3ではシリカ-アルミナとほとんど同じであったが,θ-,κ-およびδ-Al2O3ならびに前3者をナトリウム被毒したものは脱水素反応が優先するようになった。またΧ-Al2O3 を700℃ で真空脱気した触媒の活性は著しく大きく, 選択率は脱水素に有利になった。以上のことから,アルミナ触媒には強度が異なるか種類を異にするか,少なくとも2種類以上の活性中心が存在すると結論した。

収録刊行物

  • 工業化学雑誌

    工業化学雑誌 69 (12), 2255-2259, 1966

    The Chemical Society of Japan

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