炭化力ルシウムの結晶状態

  • 田川 博章
    日本カーバイド工業株式会社魚津工場研究所
  • 藤森 寛治
    日本カーバイド工業株式会社魚津工場研究所

書誌事項

タイトル別名
  • The Crystalline State of Calcium Carbide

抄録

炭化カルシウムの結晶状態を明らかにするために, 純度の高い結晶と, 市販品の2 種類について, 偏光顕微鏡とX 線回折装置の両者を使って調べた。工業用電気炉で冷却された純度の高い炭化物は2 種類の結晶形態を持っている。立方体ないしは直方体の形のものと, 柱状形とである。X 線回折の結果では前者はI,II,III型の結晶型の混じたもの,後者はI型のみからできていることが明らかとなった。いずれの形態も高温相から低温相への転移によってくり返し双晶をつくるが,立方体の場合は各劈開面については双晶線がほぼ直交し,CaC2Iでは(002)と(200),CaC2IIではd=2.95, 2.74Å,CaC2IIIはd=2.89Å の結晶面を含んでいる。柱状形の場合一つの柱面は立方体の劈開面同様(002)と(200)が現われ,それに直交する柱面では(202)と(220)の格子面を含むので,c軸方向は柱状方向に45°の角度をなしている。<BR>CaC2Iは面心正方晶系であるといわれているにもかかわらず,その干渉像ば2軸を示し,符号は正であった。市販用炭化カルシウムの場合はほとんど粒状になっている。大きい場合には数百ミクロンにも達し, 100μ以上の粒子では双晶像を持っている。不純物の一つである酸化カルシウムは炭化物の粒間に脉状になって存在していることがわかった。

収録刊行物

  • 工業化学雑誌

    工業化学雑誌 63 (7), 1154-1159, 1960

    The Chemical Society of Japan

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