熱硬化性接着剤による接着強度のレオロジー的取扱い

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タイトル別名
  • Rheological Treatment of Rate of Setting of Curing Type Adhesives
  • ネツ コウカセイ セッチャクザイ ニ ヨル セッチャク キョウド ノ レオロジーテキ トリアツカイ

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抄録

有機質ポリマーを接着剤 (AS) とするその固化過程における接合部の経時的強度 f(t) は, 接着系をつくらない場合の AS 自体の凝集力を fm(t), 同じくそのモデュラスを E(t), 接着剤 (AS)/被着材(AH) 間の偏差ひずみを γ(t) とすると, 一般に f(t)=fm(t)-E(t)・γ(t) (1)<BR>のように表わされる。著者の一人 (金丸) は fm(t) および γ(t) が同じ実験的遅延時間 τ2で, それぞれ<BR>fm(t)=f0+f(1-e-t2) (2)<BR>γ(t)=γ(1-e-t2) (3)<BR>のように表わされる同じ分子機構による遅延過程と考え, 熱可塑性樹脂を AS (冷却型) とし, 鋼を AH とする接合部につき, モデュラスが<BR>E(t)=E +E(0)e-t2 (4)<BR>のように, もっぱら経時的に緩和消失する緩和項を主体とするものとして f(t) 関数を導き, f(t) が一般に<BR>f(t)=K+L(1-e-t2) (5)<BR>(K≡f0, L≡f-Eγ)<BR>なる形のLの符号 (樹脂の平衡凝集力と平衡内部応力との相対関係) に応じ増加, ないし減少する関数として表わされることを導き, これを実験によって検討した。本報では AS ポリマーとして熱可塑性樹脂の代りに熱硬化性 AS としてエポキシ樹脂をとり, その固化過程におけるモデュラス E(t) が, もっぱら緩和項のみからなる熱可塑性樹脂のそれに対し, 非緩和項および緩和項からなり, それぞれが一次反応的ボンドの形式に応じ同じ速度定数 k=1/τ2 を以て経時的に増加するものと考え, 既報におけると同じ手順に従い f(t) に対する近似式を誘導した。この式につき df/dt=0 の条件,ならびに観測の time scale に関する τ1≪t<τ2 なる条件から f(t) の極値を求め, d2f/dt2 の符号から, このような熱硬化型 AS を用いた場合の f(t)は τ2 に対比し得る上記のような観測時間 t において極大を示す関数であることを推定し, この結果をとくにビスフェノールA-トリエチレンテトラミン系エポキシ樹脂 (AS)/鋼(AH) 系接合部についての結果によって検討した。

収録刊行物

  • 工業化学雑誌

    工業化学雑誌 73 (7), 1471-1475, 1970

    The Chemical Society of Japan

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