花卷の地形
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- 藤原 建造
- 岩手縣立花卷第1高等學校
書誌事項
- タイトル別名
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- 生徒の研究報告
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説明
以上主に花卷の氾濫原について本稿の大部分を論述し, 河岸段丘については未だ発表の域まで到達しなかったが一應資料のみを摘出した。本稿を要約すると次の如くである。<BR>(1) 氾濫原地域の形態は北部花卷と外台の場合似通つている。たゞ北部花卷は北上川の外に猿ケ石川, 瀬川の営力が加わるからその構造は複雑である。更にこの地域に働いた人間の力はこのことを一層大ならしめている。<BR>(2) 北部花卷の地域に点在する自然堤坊や袂状部は北部花卷の集落形成に非常に重要な因子を與えた。即ち一日市より栗木町に及ぶ南北市街地が丁度東方に欠けた三日月形を呈すること並びに川原町の街路が東に屈曲していることは, 人間がこの氾濫原内の地形を最も効果的に利用した一端として窺うことができる。<BR>(3) 小舟渡の台沖積の河岸段丘の存在は興味深い。これは底沖積形成時に於ける猿ケ石川の力を物語るものであつて, 北上川はこの力によつて大きく西に彎曲したのではあるまいか。従つて今後の北部花卷の治水でもこの猿ケ石川の力を無視してはならない。<BR>(4) 瀬川のグレードが未だ平衡状態に達していない。かくの如き河川を市街地の近くを流していることは自然に対する無關心を物語るもので, 年々氾濫の危險は増大している。従つて瀬川を宮野目地内から北上川に直流させることは (3) の場合に対する策としても賢明なものである。<BR>(5) 豊沢川のグレードも瀬川の程ではないが未だ落着いてはいない。従つて土砂の運搬激しく且つこれによつて両岸が侵蝕される場合が多い。<BR>(6) 北上川が西に働らいた力は1高から実相寺に引いた南北線である。<BR>(7) 豊沢川が北に働らいた力は樋, 雷を東に延長した線であり, 南に働らいた力は諏訪, 実相寺を結んだ線である。最後に木研究に際して多大なる御指導と御鞭撻とを下さいました佐々木先生並びに踏査に御援助を賜わつた部員各位に深く感謝の意を表する次第である。
収録刊行物
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- 東北地理
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東北地理 2 (2-3), 112-115, 1950
東北地理学会
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キーワード
詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390282680122881536
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- NII論文ID
- 130001077061
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- ISSN
- 18841244
- 03872777
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- Crossref
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可