光学活性アルコールのベンゾイルギ酸エステルの不整接触還元における酸,塩基の立体化学的影響

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説明

ベンゾイルギ酸-(+)-ボルニルエステル(I)およびコレステリルエステル(II)を常温常圧で種々の触媒を用い接触還元した。Iから生成したマンデル酸-(+)-ボルニルエステルを加水分解して得られたマンデル酸は,微量の酸を含む触媒と塩基を含む触媒とではすでに報告した(-)-メンチルエステルの場合1)と同様にまったく逆に不整合成された。IIの場合には不整合成されなかった。<br>微量の塩基を含む触媒では Cram-Prelog の提出した理論をもとにし,α-ケト基とエステル基が安定な反対側(trans型)になって接触還元されると考えられるが,微量の酸を含む触媒では通常は不安定と考えられる同一側(cis型)に安定化されて接触還元されるため逆に不整合成されると考えた。

収録刊行物

  • 日本化學雜誌

    日本化學雜誌 86 (6), 623-626, 1965

    The Chemical Society of Japan

被引用文献 (3)*注記

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