有機化合物の紫外線吸収スペクトルにおよぼす置換基の影響について(第1~3報)(第1報)カルボニル基および関連物質の電子構造と紫外線吸収スペクトルについて

書誌事項

タイトル別名
  • Effects of Substituents on the Electronic Spectra of Organic Compounds. I. Electronic Structure and Electronic Spectra of Carbonyl Group and its Related Substances

説明

さきに著者らは,共役二重結合系に対してカルボニル基,ニトロ基など電子牽引性の置換基が置換すると,分子内電子移動スペクトルの現われることを示して,多くの化合物の紫外部吸収スペクトルに及ぼす置換基の影響をよく説明することができた。本報ではこの問題をやや詳細に検討する目的で,まずカルボニル基の電子構造を検討し,つぎに簡単なカルボニル誘導体について電子移動構造の影響を考えて計算を行った。計算はまず最初にカルボニル基のπ電子系について,σ 電子系の影響を考慮に入れて自己無撞着分子軌道を求め,配置間相互作用の計算を行って軌道エネルギー,電子親和力,遷移エネルギー等を計算した。つぎにこの計算値を用いて,ホルムァミド,ギ酸,グリオキザルの紫外部スペクトルの解析を行った。この際,カルボニル基固有の励起構造の他に,置換基よりカルボニル基へ電子の移った電子移動構造を考え,基底状態とこれらの構造との配置間相互作用を計算する。その結果,これらの化合物の主要な吸収帯についてその帰属を明らかにし,電子構造について重要な知見をうることができた。

収録刊行物

  • 日本化學雜誌

    日本化學雜誌 78 (11), 1636-1643, 1957

    The Chemical Society of Japan

被引用文献 (2)*注記

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