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種々のベンゼンー置換体の電子スペクトルとπ電子構造
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- NAGAKURA Saburo
- 東京大学物性研究所
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- KIMURA Katsumi
- 大阪大学基礎工学部合成化学科
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Description
アニリン,フェノール,チオフェノール,フルオルベンゼン,ニトロベンゼン,スチレン,ベンズアルデヒドなど18種のベンゼンー置換体について近紫外ならびに1500Åまでの真空紫外スペクトルを気体状態で測定した。このような電子スペクトルに対する置換基効果の測定結果によれば,これらのベンゼンー置換体は“強い相互作用”の置換基をもったグループと“弱い相互作用”の置換基をもったグループにわけられる。アニリン類,チオフェノール,ニトロベンゼン,スチレン,ベンズアルデヒドなどは前者に属し,フェノール,フルオルベンゼンなどは後者に属する。弱い置換基をもった分子の電子スペクトルはベンゼン自身の電子スペクトルが単にずれたものとして解釈できる。一方“強い相互作用”の置換基をもった分子ではいちじるしい特徴としてベンゼンにも置換基にも認められない新しい吸収帯が現われる。したがって,“強い相互作用”をもつベンゼンー置換体の電子スペクトルは,これまで多くの研究者によって考えられていた立場,すなわち単にベンゼンの吸収帯のずれたものと考える立場では理解できないことが明らかになった。この新しい吸収帯は,著者らがニトロベンゼンなどについて初めてその存在を主張した分子内電荷移動吸収帯であって,光吸収の際にベンぜン核と置換基の間にπ電子の移動をともなうものである。<br> 今回得られた広い波長範囲の電子スペクトルの測定結果,とくに分子内電荷移動スペクトルの出現に注目して従来の種々な理論的研究を再検討し,改めてできるだけ総合的にベンゼンー置換体のπ電子構造を理論的に研究することを試みた。すなわち基底電子配置,局在励起電子配置,電荷移動電子配置などの電子配置間相互作用を考慮して,アニリン類,フェノール類,ベンゼンのハロゲン置換体,ニトロベンゼン,スチレン,ベンズアルデヒドなどのπ電子構造を計算した。その結果,実測の遷移エネルギー,振動子強度をきわめて満足に説明することができたばかりでなく,各分子の電子スペクトルにおける吸収帯の性格を明確に規定することができた。またこの種の理論的研究によって“強い相互作用”の置換基と“弱い相互作用”の置換基とが電荷移動電子配置のエネルギー値に基づいて区別できることが明らかになった。きらに電子スペクトルの測定結果を解析することによって,ベンゼンの電子親和力を決めることを試みた。この方法は従来正確な値の得られにくかった電子親和力の値を決める方法の一つとして役立つ可能性がある。
Journal
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- Nippon kagaku zassi
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Nippon kagaku zassi 86 (1), 1-17, 1965
The Chemical Society of Japan
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Keywords
Details 詳細情報について
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- CRID
- 1390282680125917184
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- NII Article ID
- 130003510813
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- COI
- 1:CAS:528:DyaF2MXktlWit7g%3D
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- ISSN
- 21850917
- 03695387
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- Text Lang
- ja
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- Data Source
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- JaLC
- Crossref
- CiNii Articles
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- Abstract License Flag
- Disallowed