<i>p</i>-ヒドロキシベンズアルデヒドの<i>n</i>→π<sup>∗</sup>吸収帯の濃度効果および分極方向

書誌事項

タイトル別名
  • Concentration Dependence and Polarization of the <i>n</i>→π<sup>∗</sup> Band of <i>p</i>-Hydroxybenzaldehyde
  • p-ヒドロキシベンズアルデヒド ノ n パイ キュウシュウタイ ノ ノウド コウカ オヨビ ブンキョク ホウコウ

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抄録

p-ヒドロキシベンズアルデヒドのn→π吸収帯をメタノール中で測定すると,濃度によってモル吸光係数が変化する。10-4 mol/l以下の濃度では340mμにおけるモル吸光係数が220で最高値であるが,10-2 mol/l以上の濃度では10で最低値となる。この濃度依存性は,高濃度の溶液中においてp-ヒドロキシベンズアルデヒドが水酸基とアルデヒド基との間で分子間水素結合を形成していることを示している。テトラヒドロフランを溶媒とした場合には,このような濃度依存性は認められず,340mμにおけるモル吸光係数はメタノール中での最低値とほぼ同じである。このことから, p-ヒドロキシベンズアルデヒドはテトラヒドロフラン中では10-1-2.5×10-4 mol/lの範囲では,ほとんど水素結合による二量体として存在していることが示唆された。さらに,延伸PVA膜法によって二色性スベクトルを測定し,各吸収帯の分極方向を決定した。その結果,n→π帯はほぼ水酸基とアルデヒド基を結ぶ方向に分極しており,隣接するCT帯(λmax=286mμ)とほぼ同方向の遷移モーメントをもっていることがわかった。これはn→π準位とCT準位の間には相互作用があり,n→π励起状態にはかなりCT励起状態が混合していることを示している。

収録刊行物

  • 日本化學雜誌

    日本化學雜誌 92 (9), 772-775, 1971

    The Chemical Society of Japan

被引用文献 (1)*注記

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