抄録
メチレンシクロヘプタンを過酢酸,過安息香酸で酸化し,他のメチレンシクロアルカンの場合と比較した。反応生成物は過酢酸酸化の場合にはグリコールのモノ酢酸エステル,過安息香酸酸化の場合にはエボキシドであり,アルデヒドの生成,環拡大反応などは認められなかった。動力学的に反応を調べた結果,反応速度は2次反応速度式で表わすことができ,種々の条件で2次反応速度定数が得られた。過安息香酸酸化の場合には溶媒による影響が認められ,極性の小さい溶媒中で反応がはやいことから分子機構が考えられた。また,メチレンシクロヘプタンの反応性がメチレンシクロペンタンよりは小さいが,メチレンシクロプタンやカンフェンなどより大きいことから,メチレンシクロアルカンと過酸の反応では環の大きさが反応速度に影響し,環のヒズミが大きいほど反応性が小さいことがわかった。これはF型のヒズミによる障害ではなく反応中間体の安定性の相異に基づくものと考えられる。
収録刊行物
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- 日本化學雜誌
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日本化學雜誌 86 (4), 426-428, 1965
The Chemical Society of Japan
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キーワード
詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390282680127093376
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- NII論文ID
- 130003510946
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- ISSN
- 21850917
- 03695387
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- Crossref
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可