一部誤表記のある保険約款の適用と解釈問題

書誌事項

タイトル別名
  • The Application and Interpretation of the Clause of the Insurance Policy which was made by Insurer’s Negligence
  • 一部誤表記のある保険約款の適用と解釈問題 : 韓国における災害死亡保険金と自殺に関する事例を中心として
  • イチブ ゴヒョウキ ノ アル ホケン ヤッカン ノ テキヨウ ト カイシャク モンダイ : カンコク ニ オケル サイガイ シボウ ホケンキン ト ジサツ ニ カンスル ジレイ オ チュウシン ト シテ
  • -韓国における災害死亡保険金と自殺に関する事例を中心として-

この論文をさがす

抄録

韓国では生命保険会社の不注意により一般的に死亡保険約款で定められている自殺免責条項および自殺免責制限条項が災害死亡特約にも同様に記載された状態で約款が使用されていた。実際,被保険者が自殺によって死亡した際に支払われたのは一般の死亡保険金のみであったため,2007年に遺族が自殺による死亡に対する特約上の死亡保険金を求める訴訟を提起し,裁判所がその支払を命じたことを契機として,自殺は災害ではない旨の約款改正が行われるようになった。<br />災害死亡特約の場合,被保険者の災害死亡が保険事故であるため,自殺は災害死亡ではないので,自殺に対する災害死亡保険金を支払うことはできない。それにもかかわらず,災害死亡特約で一定条件を満たした場合,その限りでないとして保険金を支払うとも理解できる文言を記載していたので,その対応をめぐり多数の判決と見解が分かれている。<br />問題の約款条項は曖昧な表現をめぐる両当事者間の異なる解釈上の問題ではなく,作成者の意図と異なる条項が誤って表記されてしまった問題であるため,契約目的の不到達などを理由とする事情変更の原則を適用すべきであると思われる。

収録刊行物

  • 保険学雑誌

    保険学雑誌 2017 (638), 638_1-638_22, 2017-09-30

    日本保険学会

参考文献 (6)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ