「想定外」を想定する

書誌事項

タイトル別名
  • Rethinking of “Unthinkable Events”: The Economic Thought of Risks and Uncertainty
  • 「想定外」を想定する : リスクと不確実性の経済思想
  • 「 ソウテイ ガイ 」 オ ソウテイ スル : リスク ト フカクジツセイ ノ ケイザイ シソウ
  • Rethinking of ^|^ldquo;Unthinkable Events^|^rdquo;: The Economic Thought of Risks and Uncertainty
  • -リスクと不確実性の経済思想-

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説明

「天災は忘れた頃に来る」(寺田寅彦の警告)。人間は災害を何度でも忘れ,愚行を何回でも繰り返す。従来において原発のリスク分析はおおむね低調であったが,フランク・ナイト(1885-1972)のように,「想定外」の事象を積極的に研究する学者も存在した。福島原発事故に関して言えば,ナイトなら地震大国・日本に多数の原発を建設することは,本来計量化できない「不確実性」であると思量したはずである。ところが現実には,「安全神話」に寄りかかり,それを計量可能な「リスク」であると即断してしまったようだ。思うに,今や「新しい総合リスク学」を樹立することが喫緊の課題である。そのためには第一に,社会心理学の成果を取り入れて,「怖いリスク」や「未知のリスク」など,リスクの「質」の違いを考慮しなければならない。第二に,経済物理学の展開に依拠して,(平均や分散などの統計数量が無意味なものとなる)「べき分布」の活用を図らなければならない。

収録刊行物

  • 保険学雑誌

    保険学雑誌 2012 (619), 619_261-619_280, 2012

    日本保険学会

参考文献 (2)*注記

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