屋久島の老齢ニホンザルの死因および寄生虫感染の報告

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タイトル別名
  • Necropsy case report for an old wild Japanese macaque (Macaca fusucata yakui) from Yakushima Island

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抄録

屋久島にて見つかったおよそ26歳という,非常に老齢であるニホンザル(メス)の死体の剖検結果を報告する。年齢の推定は死体の歯のエナメル質をヘマトキシリンで染色する方法によって行った。これは餌付けの経験のない野生ニホンザルとしては例外的に高齢であると考えてよい。外傷は見当たらず,病理解剖における主な病変は肺出血であり,対象個体が肺炎に罹患していたことが示唆された。さらに特筆すべきことは,このサルの体内から大量の寄生虫感染が見つかったことである。感染していたのは線虫4種,総数1524個体(Streptopharagus pigmentatus 1270, Gongylonema pulchrum 208, Oesophagostomum aculeatum 36, Trichuris sp. 10)であった。対象個体は老齢のため免疫力が低下しており,寄生虫の感染および蓄積を防ぐことができず,さらには肺炎にも感染して死を迎えたものと考えられる。

収録刊行物

  • 霊長類研究

    霊長類研究 27 (1), 3-10, 2011

    一般社団法人 日本霊長類学会

被引用文献 (2)*注記

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参考文献 (31)*注記

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