犬の腎芽腫の1例

  • 濱岡 美緒
    日本大学生物資源科学部獣医病理学研究室
  • 佐藤 常男
    日本大学生物資源科学部獣医病理学研究室
  • 渋谷 久
    日本大学生物資源科学部獣医病理学研究室
  • 浅野 和之
    日本大学生物資源科学部獣医外科学研究室
  • 亘 敏広
    日本大学生物資源科学部総合臨床獣医学研究室
  • 阿部 葉子
    日本大学生物資源科学部総合臨床獣医学研究室

書誌事項

タイトル別名
  • Nephroblastoma in a Dog

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抄録

6歳10カ月齢、避妊雌のラブラドール・レトリーバーが血尿を主訴に来院した。超音波検査およびX線検査にて右腎をまきこむ腫瘤が確認され、摘出術が行われた。腫瘤は嚢胞状に厚い被膜と圧排された腎組織からなる壁を有し、内部にはカリフラワー状に増殖した灰白色の腫瘤塊が認められた。腫瘍細胞は紡錘形で抗ビメンチン抗体に陽性を示した。また抗ケラチン/サイトケラチン抗体で陽性を示す移行上皮様細胞への分化を示す細胞や抗デスミン抗体、抗アクチン(α-SMA)抗体に陽性を示す筋系細胞への分化を示す細胞が混在していた。電子顕微鏡学的に、腫瘍細胞はN/C比が大きく、大型、異型核を有し、細胞質内にはミトコンドリア、粘液顆粒および多数のリボソームを含んでいた。原始糸球体や原始尿細管は認められなかったが、上皮系そして筋系の分化が示唆されたことから、腎芽腫と診断した。

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参考文献 (13)*注記

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