イワキアブラガヤおよび近縁の帰化種セフリアブラガヤ(カヤツリグサ科)の国内の分布と由来

書誌事項

タイトル別名
  • Distribution of Scirpus hattorianus and S. georgianus (Cyperaceae) in Japan and the former's putative North American origin
  • イワキアブラガヤ オヨビ キンエン ノ キカシュ セフリアブラガヤ(カヤツリグサカ)ノ コクナイ ノ ブンプ ト ユライ

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抄録

イワキアブラガヤは北アメリカからの帰化植物という説と,自生で国内絶滅種という説がある.標本調査により,イワキアブラガヤとこれと混同されてきたセフリアブラガヤの分布や生育していた年代を特定した.また,かつての生育地や栽培地の現地調査,地域の文献調査および聞き取り調査により,イワキアブラガヤが生育した当時の生育地の状況やその背景,帰化の可能性を検証した.日本での確実な自生地は福島県内の1,2,3または4箇所のみで,自生地で採集された標本数も8枚と極端に少なく,採集時期も1925〜1939年と短期間であった.イワキアブラガヤが生育した当時は採集地周辺に広く造成地が出現するとともに,アメリカ合衆国から輸入された物資が使われていたことがわかった.滋賀県からイワキアブラガヤとして報告された標本は花序が未熟で,種まで同定できなかった.現時点では,日本産のイワキアブラガヤは,一時的な帰化植物として扱うのが妥当と思われる.

収録刊行物

  • 分類

    分類 15 (1), 29-40, 2015

    日本植物分類学会

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