北海道のホルスタイン集団において不完全な血縁を利用した近交係数の算出および産乳能力の近交退化と育種価への影響

書誌事項

タイトル別名
  • Calculation of Inbreeding Coefficients using Incomplete Pedigrees and its Influence on Inbreeding Depression and Breeding Value for Milk Production in Hokkaido Holstein Populations of Japan.
  • ホッカイドウ ノ ホルスタイン シュウダン ニ オイテ フカンゼン ナ ケツエン オ リヨウ シタ キンコウケイスウ ノ サンシュツ オヨビ サンニュウノウリョク ノ キンコウタイカ ト イクシュカ エ ノ エイキョウ

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説明

本分析では, 一般的な方法 (RA) とVanRadenが提案した方法 (VRA) から算出した近交係数を比較検討し, 北海道のホルスタイン集団における近親交配の状況と産乳能力の近交退化および育種価への影響を調査した. 近交係数は, 4,630,163頭の血縁情報を使用し, 再帰的アルゴリズムを用いて算出した. 分析では, 第1に, RAと利用可能なすべての血縁を使用した場合 (RA0), 第2に, RAを使用し, 基礎世代を1950年以前にした場合 (RA50), 第3として, VRAを使用し, 基礎世代を1950年以前にした場合 (VRA50) の3種類の近交係数を算出した. 産乳量の近交退化と育種価は, 1976から2000年8月までに乳期を終了した検定記録から推定した. アニマルモデルには, 近交退化を説明するための偏回帰を含めた. また, 両親の近交係数を使用し, メンデリアンサンプリング分散を補正した. VRA50は, RA50と比較し, 平均近交係数のレベルを高く推定した. RA50とVRA50は, 計算時間の短縮に効果があった. 1960, 1970, 1980, 1990および2000年生まれの雌牛の平均近交係数は, VRA50で各々0.26, 0.56, 1.23, 1.89および4.18%, 種雄牛は各々0.31, 0.43, 0.77, 1.97, および5.14%であった. 1971-1980, 1981-1990および1991-2000年の各期間に生まれた雌牛の年あたり近交係数平均上昇量は, 各々0.07, 0.06および0.22%/年, 種雄牛は各々0.03, 0.12および0.45%/年であった. RA0はVRA50と比較し, 近交退化量を若干低く推定した. 乳量, 乳脂量, 乳タンパク質量およびSNFの近交退化は, VRA50において各々-24.8, -0.9, -0.7および-2.1kgであった. RA0とVRA50の近交係数で補正された育種価間には, 雌牛および種雄牛ともに0.999以上の相関が存在した. 以上から, VRA50から算出された近交係数は, 遺伝評価や育種計画に十分利用可能なものと推察された.

収録刊行物

  • 日本畜産学会報

    日本畜産学会報 73 (2), 249-259, 2002

    公益社団法人 日本畜産学会

被引用文献 (5)*注記

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参考文献 (50)*注記

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