西南日本,岡山市の採石場に見られる還元型/酸化型花崗岩類

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  • On the oxidized and reduced granites found in quarries from Okayama city,Southwest Japan.
  • On the oxidized and reduced granites found in quarries of Okayama city, Southwest Japan

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抄録

岡山市内には多数の採石場があり,チタン鉄鉱系のピンク花崗岩を古くから採石している.この度,ボーリング岩芯から磁鉄鉱系に属する花崗岩の共存例が発見されたので,それらの特徴を記載し成因を考察した.これは地下500 ~700 mで見られ,粗粒チタン鉄鉱系花崗岩中に磁鉄鉱系アプライト質花崗岩が混在するものである.このアプライト質花崗岩は岩床状の産状を示し,ミアロリチック組織や小規模ペグマタイトを伴う.磁鉄鉱は粗粒であるが,他形結晶でミアロル部分に産出する.アプライト質花崗岩の主成分・微量成分は固結末期濃集成分に著しく富んでおり,粗粒花崗岩マグマの分化相と考えられる.粗粒チタン鉄鉱系花崗岩マグマの固結最末期に水に富む少量の残マグマが形成され,その水のO2,H 2 への解離とH2 の上方への選択的な拡散によって,酸素フュガシティが上昇し,磁鉄鉱系アプライト質花崗岩が晶出したものと解釈された.また近傍の採石場で粗粒花崗岩の割れ目から見いだされた黄白色の柱状結晶は,化学分析によって砒鉄鉱と同定された.この発見は花崗岩マグマ最末期の熱水活動の硫黄フュガシティが低かったことを示唆する.

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