華南における2・3のマグマ- 熱水性鉱床の硫黄の起源

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  • Origin of sulfur in some magmatic-hydrothermal ore deposits of South China.

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抄録

華南褶曲帯に貫入するジュラ紀花崗岩類に成因的に関係したマグマ- 熱水性鉱床から, 花崗岩母岩(西華山), 炭酸塩岩母岩(柿竹園と黄沙坪)の3例を選び, 硫黄同位体比の研究を実施した. 華南褶曲帯は“ミオ地向斜”の古生代中期の堆積岩類からなり, デボン紀-石炭紀を中心に炭酸塩岩に富む. 鉱床の平均値を知るために各鉱床の選鉱産物のδ34S値を分析すると第2表の結果, すなわち平均値で西華山鉱床(W)-0.9 ‰ (n=3), 柿竹園鉱床 (Sn, Cu, Pb, Zn) +7.0‰ (n=3), 黄沙坪鉱床(+13.2 ‰, n=3)が得られた. 柿竹園鉱床では花崗岩(-1.0‰)から南東(+10.4‰)へゾーニングが著しい. 西華山および柿竹園鉱床の生成に関与したした花崗岩マグマは+2‰程度のδ34S値を持つものと考えられ, 従って炭酸塩岩類を母岩とする柿竹園, 黄沙坪鉱床は極めて高いδ34S値を持つと言える. 34 Sに富む岩石として炭酸塩岩に注目してそのSSS(構造置換態硫酸塩)硫黄の含有量とδ34S値を測定した. デボン紀の 炭酸塩岩は低い含有量(平均1.8ppm S)と高いδ34S値(平均+30.9 ‰)を示した. このδ34S値は上部デボン系に与えられる 一般値+24.1 ‰より高い. 一方上部石炭系の値は+25.7 ‰であり, これも一般値+15.7 ‰よりも高く, 華南の炭酸塩岩類のSSSのδ34S値は世界のその他の地域と比べて一般に高い値を持つと言えるが, 今後のさらなるデータの蓄積が必要である. SSS硫黄含有量は現世の炭酸塩岩の含有量(0.1 ~1 %S)よりも著しく低い. 以上の結果から西華山鉱床は+2‰前後のδ34S 値を持つ花崗岩マグマから分離した熱水から生成したが, 柿竹園鉱床の主要部分と黄沙坪鉱床は母岩の炭酸塩岩類のSSS が続生作用や花崗岩類の貫入に伴う熱水鉱化変質作用により溶出し, 鉱床に移動・濃集したものと推察される.

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