川崎病心エコー診断のコツ:小児から成人まで

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タイトル別名
  • Echocardiography for Kawasaki disease: infants to adulthood

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川崎富作先生による世界で最初の川崎病の原著論文が発表されたのは1967年である. 川崎病は, 出生数の減少にも関わらず, 近年増加しており2004年には9992人となり, この数は史上3番目である. 先進国においては, 川崎病が後天性心疾患の第1の原因である. 川崎病の診断の手引きを満足しない川崎病不全型が一定の割合で存在する. 川崎病不全型は, 決して川崎病の軽症型ではなく, 心血管後遺症が発生する割合は完全型に比し高い. これら川崎病不全型を, 迅速に診断し治療することが心血管後遺症の発生予防の点から重要である. 我々は, integrated backscatter (IB) 法を用いて, 冠状動脈周囲のエコー輝度を定量評価し川崎病の早期診断に役立ててきた. IB法の, 川崎病不全型の診断における有用性について報告する. 遠隔期の川崎病では動脈硬化病変への進展が問題となる. 我々は, intravascular ultrasound (IVUS) imagingを用いて, 遠隔期の川崎病の冠状動脈の病理組織学的検索を行っている. 川崎病の冠状動脈病変に対してローターブレーターをはじめとするnew deviceによるカテーテル治療が開始され10年以上経過した. このカテーテル治療において, IVUSによる狭窄部位の病理組織学的な検討がdeviceの選択に非常に有用である. また, 経静脈的心筋コントラストエコー法や経胸壁心エコー図による冠状動脈血流の評価を行い, 早期に心筋虚血を捉えることが患者管理の上で重要である. これら, 川崎病における心エコー法の有用性について自験例を中心に述べたい.

収録刊行物

  • 超音波医学

    超音波医学 34 (1), 19-26, 2007

    公益社団法人 日本超音波医学会

参考文献 (16)*注記

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