アキレス腱付着部と足底腱膜付着部の骨棘と超音波画像における腱肥厚との関連

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タイトル別名
  • Association between osteophytes at the enthesis of the Achilles tendon or plantar fascia and tendon thickening on ultrasound imaging

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目的:アキレス腱付着部炎,足底腱膜炎は脊椎関節炎の特徴的な所見であり,脊椎関節炎の疾患活動性の評価部位でもある.しかし単純X線上で認められる腱,靭帯付着部の骨棘(以下,X線骨棘)と腱肥厚の関係性を明らかにした報告はほとんどない.本調査では,単純X線での骨棘の有無,超音波検査(ultrasonography: US)での腱の厚さの関係を明らかにすることを目的とした.対象と方法:2014年6月から2015年11月までに当院整形外科を受診し,疾患特異性を含んだ165名(330足)のうち脊椎関節炎・関節リウマチなど炎症性リウマチ性疾患と診断された患者と圧痛を有する患者を除外した46名(91足)を対象とした.調査項目はUSを用いてアキレス腱と足底腱膜の厚さを測定し,これを単純X線による両踵骨付着部の骨棘の有無と比較した.結果と考察:アキレス腱付着部においては,X線骨棘を認めた群で有意に腱が厚かった (各々4.45±0.78, 3.96±0.65, p<0.01).足底腱膜付着部では,X線骨棘の有無は腱の厚さと有意な関連はなかった(各々2.85±0.48, 2.77±0.64, p=0.52).アキレス腱付着部では腱付着部内に骨棘が認められるが,足底腱膜付着部では骨棘は足底腱膜付着部の深層に認められることから,それぞれの骨棘形成機序の違いを反映している可能性がある.結論:アキレス腱付着部においては,X線骨棘を有する症例では腱が厚くなっている可能性がある.従って,X線骨棘を有する場合には腱肥厚の解釈に注意を要す.

収録刊行物

  • 超音波医学

    超音波医学 43 (5), 663-668, 2016

    公益社団法人 日本超音波医学会

参考文献 (19)*注記

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