超音波照射による媒質内温度上昇からの媒質定数の推定のための基礎検討

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タイトル別名
  • Fundamental study for estimation of medium constants from temperature rise by ultrasound irradiation

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目的:超音波照射による媒質の温度上昇を利用した媒質定数の推定のため,推定に応用出来る方法の開発を目的として検討を行った.対象と方法:水中の伝搬路中に設置した試料媒質に超音波を照射し,細い熱電対を用いて媒質内の温度を測定し,さらに超音波伝搬と熱伝導を連結したシミュレーション法により超音波照射された媒質内の温度を計算する方法を用いた.結果と考察:測定では,(1)媒質の温度上昇とともに(2)温度センサ自身の温度上昇と(3)温度センサが超音波を受信する瞬間に発生するアーティファクトが含まれるので,媒質の温度上昇のみを計算するシミュレーションとの差を正規化表現で検討した.(1)‐(3)はいずれも超音波強度の距離特性に依存し,吸収係数を定数とした指数関数曲線に比例する.超音波照射の一定時間経過後の温度空間分布を正規化することにより実験とシミュレーションが一致した.結論:正規化温度分布を媒質定数の推定に用いるとき,熱の拡散が無い数秒間の加熱であれば熱伝導率や比熱などの熱物性値の影響は現れず,吸収係数の特徴が温度分布の傾きに顕著に現れることを明らかにした.本方法は吸収係数の推定にとって実用上有用な方法と考えられる.

収録刊行物

  • 超音波医学

    超音波医学 35 (6), 671-680, 2008

    公益社団法人 日本超音波医学会

参考文献 (29)*注記

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