整形外科術前Dダイマー高値患者における下肢深部静脈血栓症の超音波検査による評価

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  • Ultrasonographic evaluation of deep venous thrombi in preoperative orthopedic patients with D-dimer above the normal range

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目的 : 下肢の整形外科領域疾患術前の深部静脈血栓症 (以下DVT) の発症状況について超音波で検討した. 対象および方法 : 2004年4月から2005年1月に当院整形外科へ下肢の手術を目的で入院した129例のうち, Dダイマーが基準値1.0μg/mlを超え下肢静脈超音波検査を行った66例 (平均年齢82.5歳) を対象とした. 観察は両側腸骨静脈末梢からひらめ静脈とし, 血栓の存在は(1)Bモードで静脈内の血栓の有無, (2)静脈圧迫法で静脈内腔消失の有無, (3)血流誘発法等も併用した血流シグナルの有無で評価した. 結果 : 66例中26例 (39.4%) に血栓を認め, その存在部位は膝窩静脈領域1例で残り25例はひらめ静脈内であった. 受傷側のみ12例, 両側に10例, 受傷対側のみ4例にDVTを認め, 14例 (54%) は受傷対側にも血栓を認めた. 血栓の有無でDダイマー値を比較すると血栓有りが平均28.8μg/ml, 血栓無しが平均24.6μg/mlと有意差は認めず (P=0.31), 20.0μg/ml未満にも13例 (50.0%) に血栓を認めた. 考察 : Dダイマーが基準値を超えると約40%の患者にDVTを認めたが, その数値の多寡では血栓の存在予測は難しかった. 血栓はひらめ静脈内に多く, 受傷対側にも54%も存在し, 検査の際には両側の特にひらめ静脈の検索が必要である. 結語 : 我々が施行したDダイマーが基準値を超えた症例に対し下肢静脈超音波検査を行なう方法はDVTの存在を検討するために有効である.

収録刊行物

  • 超音波医学

    超音波医学 34 (2), 159-164, 2007

    公益社団法人 日本超音波医学会

被引用文献 (1)*注記

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参考文献 (21)*注記

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