空中写真判読とAHP法を用いた地すべり地形再活動危険度評価手法の開発と阿賀野川中流域への適用

書誌事項

タイトル別名
  • Methodological study on landslide hazard assessment by interpretation of aerial photographs combined with AHP in the middle course area of Agano River, Central Japan
  • クウチュウ シャシン ハンドク ト AHPホウ オ モチイタ ジスベリ チケイ サイカツドウ キケンド ヒョウカ シュホウ ノ カイハツ ト アガノガワ チュウリュウイキ エノ テキヨウ

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説明

地すべり地形をなす斜面の抽出と抽出された箇所を構成する微地形の特徴から, AHP (階層構造分析法) を用いて地すべり地形の再活動危険度を評価するシステムを開発した。このシステムは, 空中写真判読による地すべり危険度の判定で着目される地形的要因の階層構造化と, それらの要因の中で見られる現象のいろいろなケースを選択項目とし, それを重み値として表現することで, 地すべり危険度評価を定量化しようとするものである。要因と項目は, 地形判読と地すべり調査の経験のある専門家間でのブレーンストーミングで決められた。その結果, 1) 主滑落崖の明瞭さ, 2) 移動体の表面形状, 3) 地すべり移動体の斜面上での位置, 4) 移動体における亀裂の位置, 5) 移動体末端部の状況, の5つの要因が選択された。要因5) は, 移動体末端部の侵食されやすさ, 移動体末端部の形状からみた不安定さからなる。<br>危険度評価の点数は, AHP各階層を構成する要因の中で選択された項目の重みの積として得られる。危険度レベルは危険, やや危険, やや安全, 安全の4つに分けられる。抽出されたすべての地すべり斜面に対するAHP評点を階級別に累積頻度分布として表し, その中の上位5%のものを危険とする。そして, 上位から5-30%, 30-60%, 60-100%にあるものを, それぞれやや危険, やや安全, 安全とする。<br>新第三紀層からなる阿賀野川中流域で抽出された312箇所の地すべり斜面をこの手法で評価した。その結果は, 空中写真判読による総観的な評価結果とよく対応し, この評価システムが従来の空中写真判読による定性的な評価プロセスを良く表現していると言える。また, 現地で確認された活動的な地すべり地での危険度レベルは高く評価された。以上から, このシステムは, 詳細な現地調査を行わずに広域的に迅速に地すべり危険度を評価するのに活用できる。

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参考文献 (18)*注記

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