SAR干渉画像を用いた地すべり地表変動の検出について

書誌事項

タイトル別名
  • Study on detection of landslide-induced surface deformation using SAR interferograms
  • SAR干渉画像を用いた地すべり地表変動の検出について : 山形県月山周辺を事例にして
  • SAR カンショウ ガゾウ オ モチイタ ジスベリ チヒョウ ヘンドウ ノ ケンシュツ ニ ツイテ : ヤマガタケン ガッサン シュウヘン オ ジレイ ニ シテ
  • Study on detection of landslide-induced surface deformation using SAR interferograms-Case study in Mt. Gassan area, Yamagata Pref., Japan-
  • -Case study in Mt. Gassan area, Yamagata Pref., Japan-
  • -山形県月山周辺を事例にして-

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説明

地すべりの災害の効果的な対策を決定し, 実行するには地表変動を監視することが重要である。干渉SAR (synthetic aperture radar) は, センチメートルのスケールで広域の地表変動を検出できる有望な監視手法である。本研究の目的は, 山形県の七五三掛地すべり域をカバーするSAR干渉画像を使って, 地すべり性変動を把握することである。対象地域は南西向きの緩斜面 (約10°) からなり, 新第三系泥岩が卓越して分布する。そして, 本地域における地すべりの誘因は融雪水である。SAR干渉画像は, 本地域を西 (東) から見下ろす上昇 (下降) 軌道から計測された人工衛星だいち (ALOS: Advanced Land Observing Satellite) に搭載のPALSAR (Phased Array L-band SAR) センサのデータから生成された。地すべり性変動を検出するため, 2006年6月と2008年10月の間に計測されたデータを選んだ。これらのデータを選んだのは, 利用可能なアーカイブデータのうちもっとも干渉性が高かったためである。先行研究の2.5次元解析では, 上昇 (北行) 軌道と下降 (南行) 軌道の両方から得られたSAR干渉画像によって, 東西の変位と鉛直変位が明らかにされた。干渉SARで見積もられたこの変位を, 2009年12月と2010年3月の間にGPSで計測された変位と比較した。この結果, 干渉SARで把握された本地域の全体的な西向きの変位と, 滑落崖付近の鉛直下向きの変位は, GPSの計測結果と調和的であることが判った。2006年6月と2008年10月の間のGPSの計測結果は未観測で利用できなかったが, 2006年6月以来, 同様の地すべり性変動が継続してきたと考えられる。このため, SAR干渉画像は本地域の地すべり性変動を首尾よく捉えたと結論される。しかし, 特に地すべり末端部の干渉SARによる鉛直上向きの変位はGPSの計測結果と調和せず, その差異は上昇軌道から得られたSAR干渉画像における部分的なアンラップエラーの可能性に起因する可能性がある。この変動の見積の誤りにも関わらず, 干渉SARは, わずかな地すべり性変動を広域にわたって監視する効果的な予察のツールとして役立つことが判り, 効果的な地すべり性変動の計測のため, 現地におけるGPS測量機の配置計画の立案に資することが期待される。

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参考文献 (20)*注記

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