滋賀県湖東地域に現存するヨシ小集団の生育状況

書誌事項

タイトル別名
  • The current status of small populations of common reed, Phragmites australis, in eastern Shiga Prefecture, Japan
  • シガケン コトウ チイキ ニ ゲンソン スル ヨシ ショウシュウダン ノ セイイク ジョウキョウ

この論文をさがす

抄録

本研究では、滋賀県湖東地域に現存する5つのヨシ小集団および京都府深泥池の小集団について、生育地の外観、発芽個体の倍数性、結実率およびSSRマーカーを用いてジェネット数を調査し、各集団の繁殖状況を明らかにした。その結果、複数のジェネットが存在している集団と、単一のジェネットのみが存在する集団が見つかり、前者では結実率が高かった。また、4、6および8倍体の発芽個体が確認され、このうち6倍体は異なるジェネット間の交雑後代である可能性がある。複数のジェネットが存在していて結実が認められる集団であっても実生の定着が見られず、これには種子の稔性の低さ、湛水や被陰などにより、種子の発芽や実生の定着条件が整わないことや、実生の新規加入スペースがないことが影響しているものと推察される。したがって、調査した小集団では種子繁殖の機会が減少し、現在の集団の規模はクローナル成長によって維持されていると示唆される。

収録刊行物

  • 保全生態学研究

    保全生態学研究 18 (2), 203-212, 2013

    一般社団法人 日本生態学会

関連プロジェクト

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ