行政保健師と民間保健師の活動の特徴と意義 : 行政機関退職後,NPOで活動する保健師へのインタビュー調査を通して

DOI
  • 山本 文子
    宮古島市福祉保健部
  • 村山 洋史
    東京大学大学院医学系研究科健康科学・看護学専攻地域看護学分野
  • 田口 敦子
    東京大学大学院医学系研究科健康科学・看護学専攻地域看護学分野
  • 小林 小百合
    東京大学大学院医学系研究科健康科学・看護学専攻地域看護学分野
  • 村嶋 幸代
    東京大学大学院医学系研究科健康科学・看護学専攻地域看護学分野

書誌事項

タイトル別名
  • The Characteristics and the Significance of the Activities of Public Health Nurses belonging to Public Sector and Private Sector : Interviews with Public Health Nurses Working at Nonprofit Organizations after Retiring from Public Sector

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抄録

目的:行政機関退職後,地域でNPO等の民間機関で活動する保健師を対象に,彼らの行政機関と民間機関での活動経験を比較することによって,行政保健師と民間保健師それぞれの活動の特徴と意義を明らかにする.方法:行政機関を退職後に,地域でNPOとして活動する保健師3名に対し,2004年9〜12月に半構造化面接を実施した.結果:行政保健師として活動した事例として,「行政保健師として僻地の保育園を廃園から救ったケース」等があった.一方,民間保健師として活動した事例として,「行政保健師時代に独自に考案した赤ちゃん体操を,民間保健師になってから普及させたケース」,「民間保健師として地域に生じている健康問題に即時的に対処したケース」等が語られた.結論:行政保健師の活動と民間保健師の活動を比較すると,行政保健師の活動の特徴として,(1)行政特有の情報源から判断し,法的根拠を基に保健師側から対象に接触できる,(2)採算のとれない専門的なサービスを確保することが可能,(3)政策決定権をもつ人に直接働きかけることができる,が挙げられた.また,民間保健師の活動の特徴として,(1)対象と対等な立場で関わることができる,(2)民間という外部組織の立場から行政のさまざまな部署に働きかけることができる,(3)保健師自身の得意分野を活かしたより専門性の高いサービスを提供できる,(4)問題に対して即時的な対応が可能,が挙げられた.今後,行政から民間への流れが加速するなかで,行政保健師,民間保健師それぞれの特徴を生かした保健師活動が展開されることが望まれる.

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