鹿児島県南西沖より採集されたフジスカシガイ属の1新種

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タイトル別名
  • A New Species of the Genus <i>Cornisepta</i> McLean, 1988 (Gastropoda: Fissurellidae) from Japan
  • A new species of the genus Cornisepta Mclean, 1988 (Gastropoda: Fissurellidae) from Japan

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抄録

McLean & Geiger (1988) はFissurisepta Seguenza,1862に含まれていた種類のうち,特殊化した歯舌と高い殻高を持つ種に対し新属Corniseptaフジスカシガイ属(新称)を設け,この中に2新種を含む12種を含めた。本属には,本邦産としてC.soyoae (Habe, 1951)フジスカシガイも含められているが,今般,鹿児島県南西部より得られた標本により,さらに1新種を認めたので記載する。<br>Cornisepta monsfuji n. sp. ユキフリスカシガイ(和名新称)<br>同属種の中ではやや小型。著しく高円錘形,前部斜面は膨らみ,後部斜面は凹み,殻口底面は楕円形。殻表面には殻頂から殻底に向け約24~28条,殻底付近では肋間に短い14~16条の規則的な放射状白線放射肋あり,殻底周縁でやや突出する。白線を構成する顆粒は40~42のギザギザの棘を生じる。放射条線は僅かに認められるが不鮮明。<br>比較:フジスカシガイに比べ殻高が著しく高く,殻高,殻長とも小型。同種では殻表面に無数の細かい顆粒点列が斜行し,対角線が交差するように規則的に並ぶのに対し,本種では殻頂から殻底に向け放射状白線の縦肋が走ることで異なる。種名は富士山,和名は富士山の尖った頂上から雪渓が降下する様を想定した。<br>タイプ標本:ホロタイプ,NSMT-Mo 76806,殻高2.2 mm,殻長2.0 mm。<br>タイプ産地:鹿児島県坊岬沖180 km,戦艦大和沈没地点近辺水深350 m。漁船の抜錨に付着した砂泥塊より採集。生貝は得られていない。フジスカシガイが同所的に得られ,同種の分布域も相模湾,駿河湾から九州南西沖に拡大した。

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