書誌事項
- タイトル別名
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- Two New Species of <i>Awalycaeus</i> (Caenogastropoda: Cyclophoridae: Alycaeinae) from Kochi and Kumamoto Prefectures, Japan
- Two New Species of Awalycaeus (Caenogastropoda: Cyclophoridae: Alycaeinae) from Kochi and Kumamoto Prefectures, Japan
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説明
<p>高知県日高村の猿田洞に流入した裂罅堆積物よりアツブタムシオイ属の化石個体が発見され,サルダアツブタムシオイとして報告されたことをきっかけに,猿田洞を形成している石灰岩層の延長部を調査したところ,同属の生貝が発見され,その後猿田洞周辺でも生貝が見つかった。詳しく調べた結果,殻の特徴が化石個体と一致し,同一種であることが判明した。本種は既知種とは形態的に区別できたため,新種として記載した。また,九州の熊本県北部の玉名郡の石灰岩地において見つかっていたアツブタムシオイ属の一種を確認したところ,これまで同定されてきたタダアツブタムシオイとは形態的に区別できると判断されたため,新種として記載した。</p><br><p>Awalycaeus yanoshokoae Yano & Matsuda n. sp.サルダアツブタムシオイ(新種)</p><p>殻長2.17 mm,殻幅4.32 mm(ホロタイプ)。同属では大型。殻は扁平な円錐形で黄白色を呈し,後生殻には成長脈が見られる。体層は虫様管始端の前方で螺層から離れ,殻底がくびれた後,下方に曲がって殻口を形成する。殻口は円く,殻口縁は二重になり,外側は外方に広がってやや反曲する。蓋は石灰質で,直径1.2 mmの円形で,内側はキチン質の膜で覆われ光沢を持ち,中央部には複式火山のような形状の起伏(周辺が外輪山のように高まり,中央部にかけてはやや低く,さらに中央には火山丘のような高まりがある)が見られる。外側は多旋型で角質の膜で覆われる。本種は同属の他種に比べて殻が大きく,成長脈が虫様管までは同属の他種よりも粗いが虫様管横から殻口にかけて密に現れること,虫様管始端の前方で体層が螺層から離れることにより区別できる。タイプ産地は高知県日高村沖名。</p><br><p>Awalycaeus shiosakimasahiroi Yano, Matsuda & Nishi n. sp.クマモトアツブタムシオイ(新種・新称)</p><p>殻長1.91 mm,殻幅3.57 mm(ホロタイプ)。殻は円錐形で黄白色~やや赤褐色がかった白色を呈する。同属ではやや殻長が長い。後生殻には成長脈が見られ,最初は密に現れるが徐々に粗くなり,虫様管横には再び密に現れ,殻口にかけてはやや粗くなる。臍孔は広い。殻口は円く,殻口縁は二重になり,外側は肥厚する。体層は虫様管の前方で螺層から離れる。蓋は石灰質で,直径1.0 mmの円形で,内側はキチン質の膜で覆われて光沢を持ち,中央部にはサルダアツブタムシオイと同様の,それよりもやや小さな起伏が見られる。一方,外側は多旋型で,角質の膜に覆われる。本種は従来タダアツブタムシオイと同種とされてきたが,タダアツブタムシオイに比べて殻口があまり反転しないこと,虫様管横の成長脈がより多く現れること,殻口にかけて螺管がやや細くなる傾向があることにより区別できる。タイプ産地は熊本県玉名郡玉東町。</p>
収録刊行物
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- Venus (Journal of the Malacological Society of Japan)
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Venus (Journal of the Malacological Society of Japan) 74 (3-4), 51-59, 2016
日本貝類学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390282680183867520
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- NII論文ID
- 40021011063
- 130005433472
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- NII書誌ID
- AA11565254
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- ISSN
- 21897697
- 13482955
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- NDL書誌ID
- 027753391
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- NDLサーチ
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可