ヨコハマシジラガイのグロキディウム幼生の寄生生態

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タイトル別名
  • Host Species for Glochidia of the Freshwater Unionid Mussel <i>Inversiunio jokohamensis</i>
  • Host species for glochidia of the freshwater unionid mussel Inversiunio jokohamensis

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抄録

栃木県東部の水田用水路に生息するヨコハマシジラガイのグロキディウム幼生の宿主となる生物を調べた。<br>生息地においてその寄生を受けていると想定される7種類の魚類(カワムツ類,タモロコ,フナ類,ドジョウ,シマドジョウ,ホトケドジョウ,トウヨシノボリ)を採集し,実験水槽内で継続飼育して,魚体から離脱してきた幼生を観察,計数したところ,ホトケドジョウ,トウヨシノボリ,カワムツ類の3種より,変態を終了させた稚貝が得られた。全離脱数に占める稚貝の出現率はホトケドジョウで83.3%,トウヨシノボリで 89.3%,カワムツ類で6.3~25.0%であった。<br>次に,同生息地において8種類の魚類(カワムツ,ヌマムツ,タモロコ,キンブナ,ドジョウ,シマドジョウ,ホトケドジョウ,トウヨシノボリ)とニホンアマガエル幼生を採集し,10%ホルマリン水溶液で固定して魚体に寄生した幼生の状態を観察,計数したところ,上述の3魚種の体に寄生が見られた。寄生部位は大部分が鰓弁であり,ホトケドジョウのみ各鰭や鰓蓋の内側,鰓耙にも寄生が見られた。寄生幼生の被嚢率はトウヨシノボリとホトケドジョウでは92.2%以上と高かったのに対して,カワムツではやや低く75.0%であった。<br>これらの結果から,カワムツとトウヨシノボリに加えて,新たにホトケドジョウがヨコハマシジラガイの宿主として有用であることが確かめられ,稚貝の出現率が高い種では,寄生数,被嚢率が高くなる傾向が認められた。

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