日本におけるイワナ<i>Salvelinus leucomaenis</i>の生息適地推定と地球温暖化を考慮した保全計画への適用

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タイトル別名
  • Implementing species distribution models to predict the impact of global warming on current and future potential habitats of white-spotted char (<i>Salvelinus leucomaenis</i>) for effective conservation planning in Japan
  • 日本におけるイワナSalvelinus leucomaenisの生息適地推定と地球温暖化を考慮した保全計画への適用
  • ニホン ニ オケル イワナ Salvelinus leucomaenis ノ セイソク テキチ スイテイ ト チキュウ オンダンカ オ コウリョ シタ ホゼン ケイカク エ ノ テキヨウ

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抄録

地球温暖化によって多くの生物の分布が高緯度や高標高地域にシフトしている。日本に生息する狭冷水性のサケ科魚類であるイワナSalvelinus leucomaenisは、気候変動の影響を受けやすいことが知られており、保全対策が必要である。本研究では、自然公園等の保護区の設定を想定したイワナの保全対策を検討するため、MaxEnt法を用いて、亜種を考慮したイワナの分布モデルの構築及び温暖化が進行した場合の生息適地を予測し、現在と将来の生息適地がどの程度保護区内に存在するのかを評価した。結果、回遊型イワナであるアメマスの生息適地モデルには、集水面積、海までの距離及び推定地下水温が、河川型イワナである本州イワナ(ニッコウイワナ、ヤマトイワナ、ゴギ)の生息適地モデルには推定地下水温と傾斜度がそれぞれ大きく寄与することが分かった。本州及び北海道のイワナ生息適地は、年平均気温が3℃上昇すると28.4%減少すると予測された。特に、中国地方や近畿地方などの低緯度地域における生息適地は減少し、2℃上昇するとほぼすべての流域で消失すると予測された。高緯度地域では、生息適地の減少率は小さかったが、保護区と重複する割合も小さいことが明らかになった。温暖化の影響を受けにくい生息適地はレフュージアになると考えられるが、その多くが保護区の外に存在していることから、保全対策の実行が急務である。

収録刊行物

  • 保全生態学研究

    保全生態学研究 22 (1), 121-134, 2017

    一般社団法人 日本生態学会

被引用文献 (1)*注記

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